学生大会「皐月祭」の観戦記
新宿駅西口周辺を、もううろうろ20分以上も徘徊している。学生麻雀大会の会場である「ZOO新宿大ガード店」が見つからない。恥ずかしながら関係者に電話で泣きついていると、ビルの下で立ち話をしている複数の学生グループを発見した。
直感した。今日の大会に参加する子たちだと──。見上げるとZOOの看板が目に飛び込んできた。中に入ってエレベーターに乗り込む。ドアが開くと、すでにスタッフたちがミーティングを始めていた。
日本最大級のモンスター店舗「ZOO新宿大ガード店」。入口向かって左が喫煙フロアで41卓、右が禁煙フロアで35卓。合計76卓。ところ狭しと並べられたオレンジ色のアルティマは圧巻の眺めだった。本日参加する選手は約300人。なるほど、このクラスの受け皿じゃないと、学生たちはさばけない。
どうせやるなら満卓に 話は20日前にさかのぼる。今回取材するにあたって、学生大会の概要を聞いた。同席してもらったのは麻雀ZOOの工藤代表、学生部門の鈴木さん、かつて池袋東口の店長だった古達さん。 |
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おっかなびっくりの交流戦 6月11日。大会に参加したのは慶應義塾大、日大、横浜国立大、東京工業大、東京大、明治薬科大、早稲田大、明治大、立教大、中央大、東京都市大、東京農工大、横浜薬科大、青山学院大、法政大、芝浦工業大(順不同)の16大学。個人9。合計26チーム。3大学の代表に話をうかがった。 |
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麻雀は人間力が試される フロアの一角で人だかりができている。「雀魂」のブースだった。麻雀卓の上にタブレットを乗せている。オンライン麻雀なのに、4人が顔を突き合わせているシュールな絵面だ。席が空くと、交流戦を終えた学生が入ってきてすぐに埋まる。 |
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立場は違えど、気持ちは同じ 順次、対局が終了していき、成績表が集まってくる。スタッフが休憩返上でパソコンに入力。中には数字を間違えて申告し、マイクで呼び出されている選手もいた。「残り5分です」鈴木さんがしゃがれた声でアナウンスしている。会場内を人が右往左往している。上がり点が分からず、助けを求める学生もいた。 |
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筆者プロフィール
上地隆蔵(うえじ・りゅうぞう)
1972年7月9日生まれ、和歌山県出身。93年、将棋プロ棋士養成機関の関西奨励会を1級で退会。6年間のサラリーマン生活を経て、2000年「週刊将棋」編集部、06年「将棋世界」編集部に。その後、将棋観戦記者となる。趣味は麻雀。フリーデビューはZOO池袋東口店。西口店を主戦場とする。第1回ZOO池袋東口店の大会で優勝。しかし実力が伴わず「名ばかりチャンプ」と呼ばれている。